Garden of Lapis Lazuli

刹那的生命の備忘録

研究というものについて II

私が理系を志したのは高校生の頃だ.そんなに昔ではないと思いたいのだが、もう既に5年程の月日が経とうとしている.科学系の部活(生物について実験したり、成果を発表したりする)に入り、その世界を見て回った.特に興味が湧いたのは「ウイルス」だ.それ自身に複製能力はないが、人や他の動物に感染し、宿主となった生物体のシステムを利用して複製する.そのようにして数を増やしていく様から、非生命とする人も少なくない(生命の要素としては自己複製や代謝などが挙げられるが、宿主に依存している為に生命としては分類されない事が多いのだ).しかしウイルスの生命、非生命の議論はまだ続いている(というよりまだ研究途中なのだ).

そんな生命のような物、ウイルスに心を惹かれた理由は形という一点に限る.「T4ファージ」というものをご存知だろうか?もし知らなければ、少し検索して頂きたい.きっと、これが自然にできたウイルスなの?!と驚くこと必至だろう.それほどまでに、実に美しい規則性を持っている.まるでSFの世界に登場するロボットそのものだ.誰だって驚き、その構造的な規則性に心惹かれると思う(偏見に重ねる偏見).高校1年生の時分に、私はこれを生物の授業で使っていた図解で発見し、講義を担当していた先生に質問しにいった.

「どうして自然でこんなものができるんですか?!」
「誰が作ったんですか?」

そんな風に質問をした私に対する、先生の解答は

「分かんない。」

....その一言だった.それ以上の解答を求めていた身としては、肩透かしをくらったようだった.

他にも図解には興味深いものが載っていた.一つ、例としてあげると植物と植物を掛け合わせて新しい植物を生じさせたものだ.これは強烈かつユニークなもので、ファージまではいかないが記憶に強く残っている.この研究では、「カラタチ」という植物と「オレンジ」(こちらは一般的に知られているあのオレンジ)を掛け合わせたものを作製していた.イメージで言えば、鋼の錬金術師に出てきた例のあのキマイラ(キメラ)だろうが、あれを例にだすと中々怖いかもしれないので「スパイキッズ 失われた夢の島」に出てくる羽の生えた豚のようなものをイメージして頂くと良いだろう.あのように、異なる生物(植物ということではあるが)同士を掛け合わせるというだけでユニークであるのに加えて、産み出された植物のネーミングも悪くなかったのだ(是非検索して頂きたい。「カラタチ」と「オレンジ」で検索すれば出てくるだろう。このような植物は数種類作られているようではあるが、それが一般的でないことを考慮するとなにがしかのデメリット等があることは予測できよう。).

さて、随分と引っ張ったが私の研究というもののモチベーションに対するモチベーションの起源はこの時代にあると言える.生物学というものに好奇心のベクトルを向け始めた、あの高校時代に.