Garden of Lapis Lazuli

刹那的生命の備忘録

東京という街について II - 神保町 -

神保町と聴いて、どんなイメージを持っているだろうか.
古本屋、カレー屋、スキーetc.
一般的かつ端的に挙げればこういったイメージだと思う. 近くには大学も沢山ある為、学生の街というイメージもあるかもしれない.

私も東京に住んでいた頃にはよく行った. 幾つもある古書店は、全て廻るのに一体何日要するのかと思う程だ.

理系の私は時々明倫館(理工系専門書店)に行き参考書を見て回ったり、雑貨屋も多く時間はどれだけあっても飽きることがない街だ.
少し歩けば御茶ノ水やさらに歩けば東京大学、東京駅からも歩いてそれほどかからない(自己基準).

何だか冴えない日も、むしゃくしゃした日もワクワクな日も神保町に出向けば気分は上がる.

本好きにはたまらないし、カレー好きにもたまらないし、雑貨好きにもたまらない.非常に大きい受け皿となる街だった.

そして、私がよく行きつけにしていた(と言ってみたいだけの)バーも神保町にある.
メインの通りから少しだけズレて、歩いて5~10分のところにある.

ある人が行きつけにしていたらしく、その人に感化されて私も行ってみた. シンプルなデザインの外観から好感を持ったが、中に入るとより好感は増す.シックなカウンターとテーブルにBGMが調和して、上品さが醸し出されていた.さらに完全禁煙というのも非喫煙者の私にはありがたかった.

そして何より、バーのマスターの暖かさとユニークさが上品さに加算されて形容することが出来ない素敵空間に昇華されていた. 人見知りな私も物腰柔らかでスマートなマスターと話していたら、とても楽しく良い気分になる.

人は基本的に誰かと話したい生き物だが、時には話したくない場合もある.マスターはそういった人の心情を察するのに非常に長けているように感ぜられた. 洞察力(言い換えれば空気を読む力)という点で相当な達人クラスの人間だ.

一般的にバーのマスターはそういった能が無いと難しいのかもしれないが、あそこまで快適な空間を創れるマスターには、本当に脱帽だ.

今は離れてしまったが、東京を訪れる時は必ず寄りたいバー、そして話をしたいマスターがいる.

私にとって、神保町はそんな街だ.