Garden of Lapis Lazuli

刹那的生命の備忘録

スナアラシ

倒壊したビル群の中で、砂塵舞う空の陰になった太陽を見上げた

頬に当たる砂粒が小さなかすり傷を作っていく

 

服も髪も砂まみれになりながら

とうに火が消えた煙草を吸った

 

砂の味がする

 

 

この砂は、もとはなんだったんだろう

今、この星では、一時栄華を極めた文明が完全に衰退し

全てが砂になっていった

 

 

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砂は一粒一粒形が異なる

星型のものや、丸型のもの、楕円のものや繊細な構造を内包するもの

色も沢山ある

赤や青、黄色に緑に黒に白 紫に藍

此の世は常に色とりどり

 

胸やけする

 

人も多かった 砂より多かった

それぞれの個性で、十人十色の世界、多様性の世界と謳っていた社会は今や砂の下

たくさんの人で都市は夜でも明るくて気付けば夜を失っていた

どこかで誰かがみている 一人になれるような場所はない

 

 

吐き気がする

 

 

色とりどりの社会

目が疲れる

 

 

結局のところ個性を尊重した多様性に富んだ社会は

今は跡形もない

「あれ」が起きてから、一切は砂になった

そうして、世界は砂になった

人もあらゆるものも砂になった

静かだ

それなのに

煩い五月蠅い五月蝿いうるさい

 

死んでも世界は

こんなにも五月蠅い